紫外線のお話
頭皮、肌への影響
「今頃から紫外線?」って、「早いんじゃない」と思うかも知れませんが、
日本では一般に紫外線量は3月頃から多くなりはじめ、5~7月がピークで
す。また1日のうちでは午前10時から午後2時頃までが最も多くなります。
ですから、今のうちから対策を立てて予防をしていかなければなりません。
影響を受けてからでは遅いのです。
太陽光線中の紫外線は電磁波で…
地上に届く290~320nm(ナノメートル)をUV-B(UltraViolet・B波)、320~400nmをUV-A(UltraViolet・A波)といい、さらにほとんど地上には届かない290nm以下をUV-C(UltraViolet・C波)というように分類されています。
波長の短い光ほどそのエネルギー量は大きく、生物に与える影響も強くなってきます。逆に波長が長い光ほど皮膚の奥深くに入り込むという性質があります。(1nmは10億分の1m=100万分の1mm)
この波長の分類は日本皮膚科学会、化粧品学会等の分類であり、気象庁、環境省基準ではUV-Aは315~400nm、UV-Bは280~315nm、UV-Cは200~280nmと分類されています。ちなみに可視光線領域は380~700nmです。
UV-A(A波)は、皮膚の表面を通り越して真皮層まで到達します。大気中のオゾン層(高度約10~50kmの成層圏に多く、高度約25kmで最も密度が高い)を通り抜けやすく、雲や霧、窓ガラスも透過し、長い間浴び続けることにより知らずしらずのうちに、既存のメラニン色素がより黒くなり、しだいに色素沈着が起こったり、しわやたるみの原因になったりします。有害性はB波より低いのですが、B波の20倍以上も地上に降り注いでいることから浴び続けると悪影響を増大させることになります。
UV-B(B波)は、海水浴のあとに赤くヒリヒリした日焼けなどを引き起こすもので、主に肌表面の表皮に作用します。その作用は急激でサンバーン(皮膚に炎症、紅斑を起こす)を起こし、2、3日して赤みがひいたあとにメラニン色素の沈着によりサンタン(2次黒化)が起こり、しみ、そばかす、乾燥などを引き起こしたり、真皮内のコラーゲン(膠原線維)やエラスチン(弾性線維)を増加変質させ、皮膚の炎症や皮膚がんの原因にもなってきます。
UV-C(C波)は、最も波長が短く細胞やDNAを傷つける有害なものですが、大気中のオゾン分子や酸素分子により完全に吸収され、地表に届くことはありません。オゾンホールができると遮断することが出来なくなり、あらゆる生物の身体に悪影響を及ぼします。
紫外線が怖いのは、急性の障害が回復しても、小さな影響が蓄積していき、慢性的な皮膚障害に発展していくことです。健康な皮膚であれば、メラニン色素はターンオーバーにより角質層に押し上げられ、垢となって剥がれ落ちるのですが、紫外線の影響により色素沈着を起こして消えずシミになったり、コラーゲンを変生させてしわなどの原因になり、皮膚がんに結びつくこともあるのです。
急激に強い紫外線を受けると一種の火傷の状態を起こしますので、皮膚の働きが低下し、その結果、頭皮の場合は一時的に脱毛にも発展しやすくなるのです。
紫外線の10%の増加は、男性に対しては19%、女性に対しては16%の皮膚がんの増加になるという研究結果もあります。(紫外線による障害には個人差があります)
肌や頭皮、毛髪だけでなく目も日焼けを起こします。紫外線を浴びると血管が拡張し、皮膚は火傷の症状を起こし、皮膚の基底層細胞の遺伝子が傷つけられてしまいます。
修復不可能な状態になると皮膚がんが起こったり、目に紫外線を長時間浴びると、レンズの役割をする水晶体が濁って白内障を引き起こし、視力が低下して失明することもあるため、WHO(世界保健機関)でも日光浴の自粛をよびかけています。
まぁ、こんな感じで紫外線についての基本的な情報でした。
次のコラムでは髪の毛や皮膚への影響について解説して行きたいと思います。